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2013年12月26日木曜日

3年次スクーリング報告


【抽象を学ぶ】 12月21日(土)~23日(月) 東京後半

 クリスマス直前に抽象を学ぶのスクーリングが行われました。
前半の講義や取材では、頭で解ってもなかなか納得がいかないのが抽象という言葉です。
しかし、後半ともなると自分の選んだ画題やエスキースに迷う暇もなく三日間が過ぎていきます。
 皆さん一ヶ月の間にしっかりと試行錯誤しながら後半へと突入しました。


自宅で行ってきた作業やドローイングを交え、最終目標をプレゼンしていきます。彼女の場合はハワード・ホジキン



彼女の場合はクレーから展開するさまざまなスクラッチ



 今回の皆さんは、とても熱心で自宅での作業も理解しようと必死で取り組んでくれました。
年末も影響してか人数が少なく和気藹々とした雰囲気でしたが、互いに意識しあえる距離だったので好影響のもと授業が進行していきました。


「何だ!これは」みんな他人のには興味津々といったところ


でも、私の作業をやるだけ!!


「なんかよく分からないわ?」といいつつも作品は…


「僕だってわからないですよ。」といいつつもモンドリアン


わからんけど面白いや!!


 みなさん解らないなりに、しっかりと画面と向き合うことで自分らしさを出そうとしてくれていて、とても良い結果が得られたと思います。
 これは、具象・抽象に関わらず「絵を描く」ということに共通したこと。画面に向かうことだけが答えをみつける手段なのです!

 





 みなさんとてもしっかりと作業ができました。
 果たして、良い作品になったかどうか?それはあまり大きな問題ではありません。
どのように自分や作品に向き合うかが課題です。
 自分の中に潜むテーマや興味、それに正対してはじめて作品というものが生まれるのです。
これは、絵に限ったことではなく文学や音楽だってそうです。
 クレーやモンドリアン、辰野登恵子やホジキンといった作家の絵画に始まりましたが、自らの画面に向き合うほどに次第に自分の描こうとするものに向き合うことになります。
その意味では、今回のスクーリングは全員が自分なりの仕上げに向かうことができたと思います。

 疲ればかり感じてまだまだ気づかないでしょうが、先々、これがとても大きな描く力として反映されるでしょう。
 まだ実感のない「クリスマスプレゼント」だと思いますが、「良くやったな!」という思いで良いお年をお迎えください。
 次のステージとなる卒制でお待ちしております。頑張ってテキストも進めてくださいね。(Y)






2013年12月20日金曜日

《卒業生展覧会案内》

【栞会】12月18日(水)~23日(月) みやこめっせ2F美術工芸ギャラリー 

 
 えーっ。随分前に紹介しましたが、この水曜日より2012年度卒業生の皆さんが京都岡崎のみやこめっせ、2F美術工芸ギャラリーで展覧会をしています。
 二度目の紹介は珍しいのですが、ちょっと前すぎたのと教員も揃って出かけましたので、その雰囲気をお伝えしようと思います。


 

 2012年度生といえば、今年の三月に卒展を終え卒業したばかりの方たち。時間が立たぬうちに展覧会をやろう!という意気込みは聞き及んでいましたが、幹事の皆さんが何度ものミーティングを重ね、9ヶ月後のこの12月に早々と第一回展が開催できる運びとなったようです。
 驚くべき行動力ですね!私でもお名前もしっかり覚えているぐらいで、ついこの前までお付き合いした顔ばかり、一瞬まだ大学におられるような錯覚にとらわれてしまいました。

 なんでも早ければ良いというわけではないのですが、皆さんの「制作したい、見せたい」という意欲が小さくならぬうちにこのような展示をするのは大変大事なことなのかもしれません。
 市内のギャラリーよりは広めですが大空間ではないので、今回の展示は一室目は15~20号程度が中心。第二室は30~50号がずらっとならべられていました。すべて新作でそれぞれがひとりで悩みながら描いた努力をしみじみと感じました。


東は東京から、西は九州まで勢ぞろいですね。



どうです、中原先生を始め皆さん生き生きした様子は嬉しいですね。


 会場予約から、出品規約や依頼、DMや搬入出などの運営、果ては懇親会まで幹事の方ご苦労さまでした。中原先生、相見先生、一居先生、長谷川先生と私の五人で懇親会まで参加させていただきありがとうございました。これからも頑張って描き、仲間たちと競うだけではなく、いろんなところで活躍して欲しいものです。(Y)

(展覧会を重ねることも大切ですが、絵の中身を充実させることを忘れないように!松岡さん写真ありがとう。)

2013年12月17日火曜日

4年生卒業制作スクーリング報告


 どうしようかと迷ったのですが、先日12月13日〜15日に行われた4年生の卒制のスクーリングでの皆さんの姿が魅力的でしたので、公開する事にしました。
といっても今回は卒制の作品紹介ではありません。
それを制作されている皆さんの後ろ姿?です。
絵画が無言で語りかけるものならば、その制作者の後ろ姿もまた無言で何かを語っているように感じます。
このブログをご覧の皆さんも、彼らの後ろ越しに卒制風景を覗いてみませんか?


ずっと立ちっ放しで制作。


制作が進むとともに筆もどんどん増えていきます。


描く、消すの積み重ね。何を拾うか、見つけるか。


作者の衣服の色彩と絵の色彩って不思議に似るもの。


何層も絵の具を塗布して画面に厚みを。


絵を立てかけたり寝かしたりして絵の具の筆触を試します。


心の中ににあるものを見つめて。


何度も調子や色を見返します。


油ではなくアクリルで、自分の手を。


同じくアクリル絵の具使用です。寝かせて絵の具を定着させます。


細かい線をサインペンを使って試みます。


こういう絵の具の扱い、私と似ています。蓋しめるの忘れるのですよね?


おじいちゃんは大事なテーマ。


いつもキャンバスと自分との距離が保たれています。


この作品は上下で繋がるもの。


空気を求めて。

作品に向かう学生の皆さんはみんな真剣そのもの。
絵の具やキャンバスという素材を通して、これら四角い画面がどんどん変貌を遂げていきます。それぞれの心に在るもの、その姿をモチーフを通して、記憶を通して、有形のものから無形のものまで、求めるものの夫々のカタチを見つける為に描いたり消したりの連続です。次回2月の卒制スクーリングが最終回ですが、今回はA,B,クラス合同の授業で、4つの教室で制作が行われました。最終ラウンドに向けて全力投球の三日間でした。(K.)


2013年12月14日土曜日

《12月7日・8日東京日記》

【12月7日】

 12月7日(土)通信教育部で例年恒例の東京懇親会のために、朝8:30に家を出て京都駅へ向かいました。
 懇親会の千住先生の講演までは時間があったので、横浜で行われていた2011年会Ⅱに立ち寄ろうと少し早めに新幹線に乗り込みました。
 新横浜で降りて、一路会場のみなとみらい駅へ。会場が見つけられず、駅員さんに聞くとほぼ駅構内の端っこに確かにノボリのようなものが‥‥。
 会場には三名ほどの卒業生がおられました。30分ほど話をして会場を後にしましたが、皆さんなんとか描き続けたい、発表をしていかねばという意気込みを感じ頼もしい限りでした。
 なかなか描く時間も少ない方もおられるでしょうが、描き続けなければわからないことが多くあります。是非これからも頑張って下さい。


2011会展Ⅱ会場写真





 すごく広くて綺麗で便利な会場でしたが、どうも人気が少ない場所なので勿体無いなあ~。

 その後、横浜まで移動し日本橋高島屋へ。現代的な作品を展示するギャラリーXを見てから美術画廊へ。
 ここへは、通学院修了生の安冨洋貴さんの出しているROSE ROSE ROSE展を見に来ました。大阪芸術学者では「鉛筆で描くフォトリアリズム」という講座も担当してもらっています。
 彼は学生時代から鉛筆だけで淡々と描き続ける画家で、まだ若いですが、各地のデパート展や美術館企画展などで活躍しています。また名前を見かけたら是非見てあげて下さい。



安冨洋貴作品

 さて、そろそろ時間なので日本橋をあとにして銀座線で青山一丁目へ。少し講演時間の前についたのでドトールで腹ごしらえ。周りの幾人かは通信卒業生か?同じように腹ごしらえしている年配の方たちもおられました。
 千住先生の講演を聞くのを楽しみにしていたたくさんの方がみえられていました。話の内容は浮世絵と印象派美術について、後半は千住先生の自作についての若かりし頃からの紹介とつづきましたが、様子はいつも変わらぬ流暢な千住節が‥‥。気がつけば終了時間をすっかり過ぎており、松井先生の一汁一菜報告はカット、懇親会も遅れ気味で開催でした。
 洋画の方は一期生から今年度入学の方まで、29名も参加してくれ大盛況でした。
しかし、見知った顔が順番に「久しぶり!先生元気ですか。」、「課題がね~。」と語り合ううちにあっという間にお開きで、話もこられているのも確認できぬかたも何人かおられて残念でした。
 十名ほどの方が、「お先に失礼します!」とか「今日は別の会もあるので‥」と去っていかれましたが、残った卒業生や一年次の皆さんと17人で二次会へ乗り出しました。
まあ、次の日の説明会もあり、遠くから見えていた方もおられるので日が変わらぬうちに解散といった次第でした。
 ゆっくりお話できなかった方申し訳ありません。身体一つではなかなか対応しきれませんでした。

千住博先生講演風景


うっかり懇親会のにぎやかさを撮影し忘れましたので、千住先生の講演風景だけですみません。


【12月8日】

 朝からとても天気がよく、朝食を食べて説明会の前にちょっと寄り道。
今日は以前からほんの少し関わっている児童画教育の勉強に、四谷四丁目にあるCCAAというところへ。ここは、東京おもちゃ博物館でしられるランプ坂ギャラリーで行われている「いのちかがやく子ども美術展」というのを見に行ってきました。
 0歳から6歳の子どもが生み出す絵と造形の展覧会なのですが、ちょうどその日がシンポジウムの日。パネラーのCCAAの理事長鈴石弘之先生、美育文化編集長の穴澤秀隆氏は木水育男という教育者のシンポジウムでご一緒した知己、河口龍夫先生は本学で現代美術を引っ張ってこられた方、長谷光城氏は現美展でグランプリをとられた実力作家。見知った方ばかりなのでちょこっと覗きに行ってきました。


 ちょうどシンポジウムの題材となる審査をされていたようで、撮影も入っており驚くくらいたくさんの方が朝から詰めかけており見るのも大変でした。長谷さんがマイクを持ち司会をする中、先生方の審査や会話を楽しまれているのをよそ目に、空いた部屋を順番に周りながら子どもの絵を鑑賞してきました。
 審査されている様子もちらっと見ていましたが、いざ私が審査することを想像すると、「きっとどこかで見た優れた造形を元に子どもの絵をみてしまうのだろうな。」、「きっとそれでは子どもの絵の本質は見抜けないのかも知れないよな~」などと思いながら鑑賞していました。
 ひととおり回ってみて気がついたことは、まあどれもこれも自由気まま、責任がないといえばないし、塗りたくった絵ばかりなのですが、何故かその屈託のなさが羨ましくもありケレン味の無いその味には見習うべきところがたくさんあるように思えました。



 みなさんも子どもの絵を見るときには、なんの前置きもなしにエネルギーだけを感じながらみるとスランプも自然に抜け出せるかもしれませんよ。
 子どもの絵を判断せずに見て歩くのは、なんか顔をほころんでくるような気がします。
 休憩時間に、パネラーの先生方にご挨拶してから東京学舎の説明会というお仕事へ!
東京学舎でおなじみの小林良一先生と午後五時まで仕事をし、一杯飲んでから京都へと向かった土日でした。
 
 
 どうです!この思いっきりの良さ、何か忘れていたものを思い出させてくれますね。





なんのことはない、特別な展覧会紹介でもなくありふれた東京出張でしたが、時間をいっぱいいっぱい使って回った日常なので、すぐにアップしようとおもっていましたが、ちょっと疲れてしまい遅くなってしまいました。
 そうこうするうちに昨日から卒制スクーリングが始まり、そのうちK先生が卒制写真をアップするだろうからと慌てて掲載させていただきました。
 さて次はどんな卒制風景が見えるでしょう。

 私は来週は抽象スクーリングの後半でまたもや東京です。受講生の皆さんもうすぐですね。(Y)

余談:

そうそう忘れていましたが、何人かの卒制の方に紹介した作家で、「須飼秀和」という作家がいます。自分の素朴な絵を黙々と描き続けてきて、いまや売れっ子作家になった人の強さを紹介したのですが、つい名前を間違えておりましたのでここで紹介し直しておきます。

×鵜飼秀和 → ○須飼秀和でした(ごめんなさい)

 10年ほど前に通学へ編入してきた学生で、もう卒業してから10年以上たつのでしょうか。その時の担当教員が教えてくれたのですが「きっと彼は、周りの現代的な表現を横目に気にしながら制作していたと思いますが、自分の思った絵を描き続けておどろくぐらい売れっ子の作家になってしまいましたね。」ということです。
 みなさん!自分を信じて貫くこと、周囲との比較より何よりもしっかりと画面に向き合うことをこの作家から学んでいただければと思います。
 もう展覧会は終わってしまったのですが、興味のある方は是非本など買って研究しましょう!



一度検索してみてください。(Y)

2013年12月12日木曜日

洋画コース大学院2年次スクーリング報告


皆さん こんにちは。

さて今回は大学院のスクーリングを紹介しましょう。
大学院は学部に比べると人数も少なくなります。
4年間でスムーズに卒業できる人は多くはありませんから、まだ上があるの?と思われるかもしれませんね。

では大学院では皆さんどのような目標を立てて進もうとされるのでしょうか?

まあいろいろです。

私のことを申せば(古い話で恐縮です)、4年生になって急に制作が面白くなってきて、もっと描きたいと渇望するようになりました。たいして高邁な志があったわけではなく、ただ、今大学から去れば自分の制作の道が途中になるのではないかと恐れたのですね。

学費は自分で捻出せねばならず、あのころの感覚を思い出すと「生きている!」という身体に血が流れる音を聞いているような錯覚に落ちます。(なんて大袈裟!?)
多分通信の学生さんたちも、こういった出発ではないでしょうか?

今日の大学院のスクーリングは2年生の授業風景です。
皆さん積極的ですよ〜。

現在4年生の皆さんは明日から3日間のスクーリングが始まりますから、それどころではないと思いますが、これからが本当に自己を表現することにはまる時期です。もうひとつ段階を上がる事も視野にいれられてはいかがでしょうか。

大学院2年生の5月スクーリングから11月スクーリング風景。

修了作品へのプレゼン。

制作空間も広いですね。

ともかくエスキースは何枚でもOK


キャンバスの大きさも各自の作品内容に応じて自分で決めていきます。


担当の森田康雄先生と個人面談

晴れやかな笑顔。制作は面白い!?


絵画って人を表すのでしょうね。絵の中のPタイルのパターンもエプロンの模様も楽しくてにぎやか!

修了展を意識して気合いが入ります。


上の写真は修了論文の指導をされている中原先生と学生さんです。
大学院では、学部4年次での副論をさらに内容に精度を加えたものを執筆します。
それを研究ノート、制作ノートと呼びますが、通学同様院を修了するのに際して修了審査を受けます。
作品とノートという二つの成果物が審査対象です。絵とノート、まるで自身の肉体と思考を見える形にしたものですね。学位を獲得するために、作品だけでなく文武両道多いに励む事になります。勿論大変ですけど、それを通過する時には、皆さん精根尽きたというくらい一生懸命。とてもいい風景です。(K.)